【初心者向け】声楽とは?声楽科出身ライターが基礎から丁寧に解説

「声楽とは?カラオケやボイトレとの違いは何?声楽レッスンの始め方から学ぶメリット、ベルカント唱法まで徹底解説」という文字と、華やかなドレスを着て声楽曲を歌っている様子の女性。 声楽

 こんにちは。音楽大学声楽科出身ライターこまりです。

女性
女性

声楽を習いたいけれど、そもそも声楽って何?

女の子
女の子

カラオケや合唱と何が違うの?

こんな疑問を持ったことはありませんか?

私はかつて音楽大学の声楽科に4年間在籍し、イタリア語の発音から身体の使い方まで、声楽を基礎から徹底的に学びました。その経験から、声楽の世界について、できる限り分かりやすくお伝えしていきます。


この記事では、 声楽の定義・種類・他の歌との違い・声楽を学ぶメリット・始め方 まで、声楽のすべてを一気に解説します。

こまり
こまり

声楽に少しでも興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください!

声楽とは何か

 声楽(せいがく) とは、 人間の声そのものを楽器として扱う音楽 のことです。ピアノやバイオリンといった器楽(きがく)に対して、声を用いた音楽全般を「声楽」と呼びます。狭義には、クラシック音楽の発声法・演奏法に基づいた歌唱を指すことが多く、 西洋音楽の伝統と技法を受け継ぐ歌の芸術 です。

 日本語で「声楽」というと、ほとんどの場合 クラシック音楽の声楽 を指します。オペラのアリア、ドイツ歌曲(リート)、フランス歌曲(シャンソン)、宗教音楽など、西洋音楽の歴史の中で磨かれてきた「歌の技法」がその中心にあります。

 声楽が他の歌唱と大きく異なるのは、マイクを使わずに広い会場を声で満たす技術を目指す点です。オペラハウスや大聖堂で何千人もの観客に届く声を作るために、人体の構造を最大限に活かした発声法が発達してきました。これは何十年もかけて培われる、まさに「身体を楽器化する」営みです。

声楽の種類と声域

ジャンルによる分類

ジャンル特徴代表的な作品・作曲家
オペラ管弦楽と舞台演技を伴う大規模な声楽作品。ドラマチックな表現が求められる。モーツァルト「フィガロの結婚」、
ビゼー「カルメン」
歌曲(リート)ピアノ伴奏と歌のシンプルな編成。詩の内容を音楽で表現することが核心。 シューベルト「冬の旅」、
シューマン「詩人の恋」
イタリア歌曲(古典歌曲)声楽学習の基礎として世界中で使われるバロック〜古典期の歌曲。 ジョルダーニ「カーロ・ミオ・ベン」、トスティー「イデアーレ」
宗教音楽ミサ曲、カンタータ、オラトリオなど。精神性と荘厳さが重視される。バッハ、ヘンデル「メサイア」、
フォーレ「レクイエム」
日本歌曲日本語の歌詞を声楽技法で歌う歌曲。日本の情緒と西洋の技法が融合。山田耕筰、中田喜直、武満徹
現代声楽20〜21世紀の作曲家による作品。前衛的な奏法や語りを含むものも多い。ベリオ「Sequenza III」ほか

声種(ボイスタイプ)の分類

 声楽では、それぞれの歌手が持つ声の高さ・音色・声量によって声種が分類されます。オペラのキャスティングはこの声種に基づいて行われます。

ソプラノ
Soprano
女声の最高音域。オペラの主役を担うことが多く、華やかな高音が特徴。さらにコロラトゥーラ、リリック、ドラマティックなどに細分される。
メゾソプラノ
Mezzo-soprano
ソプラノとアルトの中間。豊かで色気のある音色が特徴。母親役や魔女役など、深みのある役柄に配される。メゾと略されることが多い。
アルト
Alto / Contralto
女声の最低音域。稀少な声域で、深く重厚な音色が魅力。コントラルトとも呼ばれる。
テノール
Tenor
男声の最高音域。オペラでは英雄・恋人役を担うことが多く、輝かしい高音が花形とされる。
バリトン
Baritone
テノールとバスの中間。バランスのとれた温かみのある声域で、男声の中では最も人口が多い。
バス
Bass
男声の最低音域。重厚で威厳のある音色が特徴。老人・権力者・神など深みのある役に配される。

✦ 筆者の実感
 声楽を始める際に、先生や専門家が声を聴いて、その人がどの声種に属するかを判断します。自分がソプラノだと思っていたのにメゾソプラノと言われる、なんてことはよく起こります。また、合唱のパート分けなどでよく耳にする”アルト”は、声楽では非常に珍しい声種です。声種は自分で決めるものではなく、その人が本来持っている声の構造が決めるものなのです。オペラでも役によってどの声種の人が演じるか決まっていることが多く、一人一人の声質に合った配役が行われます。

カラオケ・ポップス・合唱との違い

男性
男性

声楽って、普通の歌と何が違うの?

こまり
こまり

簡単に言えば、発声の仕組みと目的が根本的に違うよ。

声楽(クラシック)ポップス・カラオケ合唱
マイク基本的に使わないマイク必須大規模なものは使用
発声法共鳴腔*を最大限に活用した発声自然な(日常的な)発声・ミックスボイス声楽的発声をベースにすることが多い
声の方向性ホール全体に広げるマイクに向けて声を当てるアンサンブルの均質さを重視
言語イタリア語・ドイツ語・フランス語など多言語主に母国語主に母国語だが、宗教曲をはじめ様々な言語も扱う
身体の使い方全身が楽器。横隔膜・背筋・共鳴腔を意識的に制御比較的自然な身体の使い方声楽に近い
習得期間基礎の習得に数年〜十数年趣味としては、比較的短期間で歌える声楽とポップスの中間

*共鳴腔(きょうめいくう)…声帯で生まれた音を身体の空間で響かせ、増幅する器官のこと。鼻腔(びくう)など。


特に重要なのは 「マイクを使わない」 という点です。声楽の発声は、身体の共鳴空間(口腔・鼻腔・胸腔など)を最大限に活用して音を増幅させます。これにより、ピアノや管弦楽団の音に負けずに客席まで届く声を作ります。一方、ポップスではマイクがその仕事を担うため、発声の方向性が根本的に異なります。

💡 ただし近年は、声楽の技法をベースにしながらポップスやミュージカルを歌う クロスオーバーの分野も発展しており、声楽を学ぶことがジャンルを超えて歌の力を高めることにつながるという見方もあります。

ベルカント唱法とは

 声楽を語る上で欠かせないキーワードがベルカント唱法です。

 ベルカント唱法とは、オペラやイタリア歌曲を歌う上での一つの歌唱法で、「ベルカント(bel canto)」はイタリア語で「美しい歌」を意味します。

ベルカント唱法とは、(1) イタリアの歌唱様式であり、どの音域においても、同質の自然な美しい声が出せること、(2)息をうまく整えることによって滑らかなレガートができること、(3)華やかで技巧的な楽区を自由に歌えること、(4)より高い音域の声が出せること、という大きな四点に集約できる。

斉田正子著 『19世紀イタリアのベルカント・オペラの歌唱について一狂乱の場を中心として一』 より

 声楽レッスンでは、これらの4点を自身の技術として身につけるため、音域を広げるための発声法や長くしっかりとした呼吸(ブレス)を実現するための身体づくりなどを学んでいきます。

声楽を学ぶ5つのメリット

1 呼吸が深くなり、心身が整う

 声楽の基礎である腹式呼吸・横隔膜呼吸を身につけることで、日常の呼吸も深くなります。深い呼吸は自律神経を整え、ストレスの軽減や集中力の向上につながると言われています。声楽レッスンはある意味で、最高の「呼吸の訓練」でもあるのです。

2 声が通るようになり、話し方が変わる

 声楽で身につく共鳴した発声は、歌だけでなく日常の会話にも影響します。「声が通るようになった」「プレゼンで自信が出た」という声楽経験者の声は多く、ビジネスパーソンや教師・俳優志望者が声楽を習う理由の一つでもあります。

3 姿勢と身体意識が変わる

 声楽は全身を楽器とするため、姿勢・背骨の使い方・骨盤の位置など、身体の使い方への意識が根本から変わります。猫背や巻き肩の改善につながったという経験者も少なくありません。

4 ヨーロッパの言語・文化への扉が開く

 声楽ではイタリア語・ドイツ語・フランス語の歌詞を扱うことが多く、自然とこれらの言語への関心が高まります。また、歌詞の背景にある文学・歴史・哲学を学ぶことで、ヨーロッパ文化への理解が深まります。

5 一生続けられる趣味・芸術表現を持てる

 声楽は、正しい技法で学べば年齢を重ねても続けられる芸術です。多くの声楽家が50代・60代でも現役で歌い続けており、シニアになってから始める方も少なくありません。生涯にわたる豊かな表現の場となります。

声楽をはじめる5ステップ

 声楽は「特別な才能がある人だけのもの」ではありません。正しい先生のもとで基礎から学べば、誰でも声楽の技法を身につけることができます。以下のステップを参考に、まず第一歩を踏み出してみましょう。

1 声楽に興味を持った動機を整理する

 「オペラを歌いたい」「歌が上手くなりたい」「呼吸を改善したい」など、声楽を始めたい理由は人それぞれです。動機をはっきりさせることで、先生探しや目標設定がスムーズになります。

2 声楽の先生・教室を探す

 声楽は独学では限界があります。発声の癖や身体の使い方は、専門家の耳と目でなければ正確に判断できないからです。音楽教室・個人レッスン・音楽大学の公開レッスンなど、様々な形態があります。まずは体験レッスンを受けてみましょう。

 詳しくはこちらの記事でも解説しています⬇️

声楽の先生の探し方は?初心者におすすめの選び方と無料体験ができる教室4選
声楽の先生はどう探せばいい?音大声楽科出身ライターが、初心者向けに先生の探し方・選び方をわかりやすく解説。無料体験レッスンが受けられるおすすめの声楽教室4選も紹介します。

3 基礎発声から始める

 焦って曲を歌い始めるより、発声練習で基礎を固めることが大切です。母音発声・音階練習・ブレスの取り方など、地味に見えても最初の数ヶ月が後の成長に大きく影響します。

4 イタリア古典歌曲を学ぶ

 世界中の声楽レッスンで最初に使われるのが 「Arie Antiche(アリエ・アンティケ)」 と呼ばれるイタリア古典歌曲集です。日本では全音楽譜出版社の「イタリア歌曲集」が有名です。

高声用、中声用など、声域によって使用する楽譜も変わってくるため、レッスンで先生にどちらが合うか確認してから購入すると良いでしょう。

どの曲も、シンプルな旋律の中に、声楽の基礎がすべて詰まっています。

5 演奏会・発表会に向けて曲を仕上げる

 目標を持つことが上達への最大のモチベーションです。先生の発表会や地域のコンサートに出演することで、人前で歌う経験を積み、技術と表現力が飛躍的に伸びていきます

🎵 先生選びのポイント: 声楽の先生選びは非常に重要です。有名な先生が必ずしも「教えるのも上手い」とは限りません。体験レッスンで「自分の声をどう聴いてくれるか」「発声の指摘が具体的か」「質問しやすい雰囲気か」を確認しましょう。

まとめ

 声楽とは、人間の声そのものを楽器として扱う音楽であり、西洋音楽の歴史の中で磨かれてきた歌の芸術です。カラオケやポップスとは発声の仕組みから異なり、身体全体を使って声を響かせる技法を学びます。オペラ・歌曲・宗教音楽など多彩なジャンルがあり、声種によって得意な音域や役柄も異なります。

声楽を学ぶことは、呼吸・姿勢・声・言語・文化への扉を開くことでもあり、一生続けられる豊かな芸術表現です。まずは声楽の先生を探し、体験レッスンから一歩を踏み出してみてください。

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